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デジタル・サイネージ「トイレッツ」の開発

第5回:救世主は1000人分の“おしっこ”(上)

  • 根津 禎=日経エレクトロニクス
  • 2013/09/17 00:00
  • 1/3ページ

<前回のあらすじ>
 2006年に発案され、研究開発が始まったトイレッツ。だが2008年から2009年末まで、研究開発はいったん凍結されてしまう。この状況を変えたのが、町田裕孝を中心とする新メンバーたちだった。トイレッツの開発は再開され、広告効果を測る試験を実施する。その結果、効果があることが実証され、ついに2011年2月、トイレッツの製品化が正式に決まった。

 開発メンバーは焦っていた。トイレッツの発売時期の目標は2011年11月。製品化の決定からわずか9カ月ほどの時間しかなかった。その間にトイレッツの製造コストを下げ、尿の検知精度を高め、ゲームも完成させる。製品化が決まったとはいえ、祝賀会を開くどころの状況ではなかった。

 トイレッツの目標販売価格は15万円程度に設定された。まず、小便器の価格が30万円ほどなので、それを下回る必要があった。さらに、トイレッツがゲーム機として1年間で回収できる金額を考慮した。以前、居酒屋で実証試験を行ったところ、トイレッツの有料(10円)ゲームの売り上げは1日平均580円。単純計算で1年間に20万円程度になり、元を取れる。

 15万円という販売価格を実現するため、ハードウエア開発チームは地道なコスト削減に取り組んだ。例えば、トイレッツの筐体を樹脂の射出成型品とした。金型コストは掛かるものの、数量が出れば製造コストが下がる。ところがこの金型で、とある“事件”が起きる。

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