東京電力は、エネルギー・コンサルティングのスタイルを従来の設備更新提案型から運用改善提案型へ変えようとしている。運用改善提案型では、センサで計測したデータを生産プロセスの状況把握につなげることが鍵となる。以下は、前回の記事「「1億円のエネルギーで40億円の価値を生めるか」、東電の節電基準」に続き、東京電力の宮内 亮二氏(同社カスタマーサービス・カンパニー 法人営業部 エネルギー解析イノベーショングループ課長代理、写真)がセミナーで講演した内容を編集したものである。
同じ製品1個当たりの生産に要する電力に3割の差
よりスマートな生産プロセスの実現につなげる手法についても宮内氏は説明した。生産量と使用電力の相関を利用したもので、今後の東京電力のエネルギー・コンサルティングの鍵を握る。
まず、1個の製品を生産するのに必要な電力量「生産電力原単位」を分析する。同じ製品を製造しても、ばらつきが生じていることが把握できる(図13)。さらに、生産に実際に使われる「生産電力」と、待機電力のように生産には使われない「非生産電力」を求める。同じ製品であっても製品1個当たりの生産に要する電力に3割近い差が生じている場合がある。こうした差を解消することによって、最適な電力で生産できるよう工夫する。
次に、生産設備ごとの生産電力と非生産電力を時系列に示す(図14)。二つの電力の分類方法にノウハウがあるといい、違いが一目で分かるように色分けしている。二つのデータを照らし合わせることで、初めて“見える化”できる。