丁寧な説明に尽きる
具体的にユーザーに納得してもらうには、どうしたらいいのか。それを探る試みが、さまざまな業界で始まっている。各社がポイントとしているのは、サービスの利用開始時や利用中、利用中止の各段階で、ユーザーに丁寧に説明することである(図3)注2)。
カレログを運営するマニュスクリプトは、ユーザーの納得感を高めるべく、個人に関する情報の利用状況の通知方法などに改良を加えた「カレログ2」を、2011年10月にリリースした。まず利用を始める段階で、端末利用者のメール・アドレス宛てにメールを送信する仕組みを実装した。その後もメール・マガジンを定期的に送付して、カレログ2を利用中であることを端末利用者に通知する。
さらにサービス利用中には、スマートフォンの画面の左上に「GPS取得中」の文字を表示して、位置情報を取得していることを明示する機能を追加した。これらの施策により、端末利用者の同意なく情報を取得することを防ぐ姿勢を明確にした。
家電分野の事例では、シャープが2012年6月上旬に発売を予定する掃除ロボット「COCOROBO」がある。COCOROBOは、掃除機能だけでなく、内蔵するカメラで部屋の様子を撮影してスマートフォンに表示する機能や発話機能などを搭載している(図4)。
カメラで室内の様子を撮影して「見守りサービス」などへの応用を想定しているが、負の側面としては盗撮に悪用される恐れもある。このため、カメラが稼働しているときには、LEDが点灯してユーザーに知らせるようにした。シャープは将来的に、COCOROBOで他の情報を取得する場合は、ユーザーに話しかけて情報取得の同意を得るといったことができないかを検討しているという。