Webページの閲覧履歴や位置情報、購買履歴、身体情報─。今や、個人に関する多くの情報が、スマートフォンやパソコン、カーナビなど、さまざまな端末を経由してサーバーに集まってくる。これらの膨大な情報は、解析作業を経て、さまざまな用途に活用できる“宝の山”となる。しかしその一方で、こうした情報が個人に不利益をもたらす可能性も懸念されている。個人に関する情報をいかに有効に活用するか。社会的なコンセンサスの取り方や、技術的な解決手法について議論が活発化している。
連載
センサ・データを解放せよ
目次
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第4回:ユーザーの納得感をどう得るか
グレーな情報をどのように扱えば、プライバシーの観点でユーザーに不安感や気持ち悪さを与えずにサービスに活用できるのか。一言で言えば、ユーザーの「納得感を得る」ことに尽きる。
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第3回:個人に関する情報の扱いが原因で“炎上”
2011年後半から、個人に関する情報の取り扱いが原因で、“炎上”するインターネット・サービスが相次いでいる。中でも、“彼氏”の位置情報をスマートフォンに搭載されたGPSなどのデータを使って“彼女”に通知するサービス「カレログ」は、世間を大いににぎわせた。
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第2回:データ解析によって隠したい事実が露呈
第2の問題である隠したい事実が露呈してしまう危険性は、Google社の検索サービスが示している注1)。同社の「Google検索」では、過去の検索語と、その検索結果への利用者の反応の履歴を記録し、検索結果を最適化している。つまり、提示されるWebサイトの優先度が利用者の特性に応じて変化する。
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第1回:現実世界のデータ化とプライバシー問題
現実世界がインターネット上に転写される─。今、現実世界の動きをデータ化し、インターネットのサーバーに収集する動きが加速している。その立役者はスマートフォン。利用者とともに移動し、GPSやマイク、カメラ、NFCなど多様なセンサを内蔵するという特徴があるためだ。センサが収集する利用者の行動に関するデータ…