DNAチップの進化と検査チップなどの新チップの登場によって,バイオ・チップの全く新しい応用が期待できるようになる。病気の診断や患者ごとに最適な治療法を提供する“テーラーメード医療”,食品の衛生管理などである。こうしたバイオ・チップの開発には,半導体の微細加工技術や回路設計技術,光センサー技術,パッケージ技術などが必要になる。
バイオ・チップ注1)が,半導体関連技術を生かせる未来の巨大市場を生み出す可能性が出てきた。現在は遺伝子の研究用にしか使われていないが,将来は病気の診断や食品の衛生管理といった身近な応用が期待されているためである。さらに,バイオ・チップは医療に革命を引き起こし,自ら市場を創出する可能性を持つ。その代表例が,バイオ・チップを利用した遺伝子解析によって患者ごとに最適な治療法を提供する“テーラーメード医療”である(図1,図2)。
応用拡大のカギを握るのが,大掛かりな装置を使わずに簡単に扱えるバイオ・チップである。このため,第2世代のDNAチップ注2)や検査チップなどの新チップの開発が,ここへ来て活発化してきた。こうした開発では,微細加工や回路設計,光センサー,パッケージなどの半導体技術の知識や経験を生かす事例が増えている。
注1)血液や細菌などの生体資料を測定するチップ。DNAチップもバイオ・チップに含まれる。
注2)数cm角の基板にDNAの断片を多数並べたチップ。