VoIPに雑音が混入する原因

 VoIPに雑音が混入する原因としては、音声データの損失が挙げられます。パケット交換方式を採用しているIP網では伝送路上で発生するパケット損失や順序入れ替え、遅延などにより、パケットの到着間隔にバラつきが発生します。

 このバラつきを「揺らぎ」といいます。VoIPはその名の通り音声データをIP網を使って運ぶものです。受信側では受信したパケットからリアルタイムに音声信号へ変換する必要がありますが、パケット損失や揺らぎが発生している状態では、ノイズや無音状態が発生し、元の音を正しく再生(再現)できなくなります。

 信頼性が高いネットワークではパケットが損失する可能性は低いですが、回線の使用状況によって揺らぎが発生します(回線の混雑や経路変更が主な原因)。そのため、受信側ではジッタバッファ(揺らぎ吸収バッファ)と呼ばれる仕組みを用いて揺らぎを抑えますが、ジッタバッファの許容量を超える揺らぎが発生した場合、受信したのに再生されない音声データ(ジッタバッファによるパケット損失)が発生します(図2)。

図2●ジッタバッファ
[画像のクリックで拡大表示]

 残念ながら、VoicePingerやPEXQではパケットレベルでの音声データの損失や、揺らぎを測定することはできません。パケットレベルで何が発生しているのかを調査するには、「Wireshark」などを用いてパケットをキャプチャし、音声データを運ぶRTPについて調べる必要があります。

 次回はパケット損失や揺らぎが音声品質にどのような影響を与えるのかを調査するために、オープンソースのIP-PBXであるAsteriskを用いて測定用のVoIP環境を構築します。