今回測定した環境では2台の端末ともに同じアクセスポイントに接続しています。それにもかかわらず音声遅延時間に数倍の差が生まれてしまうのは、RTP(Real-time Transport Protocol)による音声データの送信受信経路の違い(SkypeはP2P、以前の特集ではcommはサーバー経由だった)によるものだと思われます。

 LINEはどうでしょうか。LINEの音声遅延時間の推移を図5に示します。以前の特集でLINEを調査した時点では、Skypeと同様に音声データの経路はP2Pでしたが、今回はSkypeと比較すると4倍近い遅延時間となっていました。なお、LINEのグラフの測定数が少ないのは、音声遅延測定時に使用する折り返しのパルスのレベルが不安定で、測定不可となる場合があったためです。

図5●音声遅延測定結果(LINE)
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 次に測定時間の違いによる音声遅延時間の差を見てみましょう。SkypeやLINEは測定時間による 明確な差はありませんが、commに関しては測定した時間帯ごとに差がありました。これは音声データがサーバー経由となっており、経路上の回線状態の影響を受けているためだと思われます。

 今回の測定結果から分かるように、音声遅延時間は音声データが通る経路と回線の状態によって、大きく変わると言えます。

 なお、今回の測定は各種サービスを導入する際の評価方法の一助となることを目的としたものです。測定する端末、アプリケーションのバージョン、通信回線種別、回線の状態などにより、測定結果が変化することをご了承下さい。

 次回は各サービスの音声品質がどの程度なのか測定していきます。