図1
[画像のクリックで拡大表示]
図2
[画像のクリックで拡大表示]
図3
[画像のクリックで拡大表示]

More than Moore(モア・ザン・ムーア)型の半導体技術をセンサ開発に展開しているロームが、医療や建設などの世界で役立つセンシング技術を明らかにした(関連記事1)。いずれも赤外やX線などさまざまな波長の波を撮像素子やセンサで取り込んで解析する。多くの技術は従来から知られた原理に基づくので、実用化を進めている企業は他にもあるが、ロームは半導体技術を使って近い将来に身近な民生品に落とし込む狙いだ。

 同社は、人体を可視化できる撮像素子(イメージ・センサ)を開発している(図1)。波長が可視光よりも長い近赤外光(NIR)を使う。近赤外光には人体の内部まで3cm程度透過する性質がある。近赤外光LEDを照射して、反射光を専用撮像素子(化合物のCIGS膜を使った素子、関連記事2)で取り込む。近赤外光の中でも波長を変えて像を取り込み、画像処理することで、血管など目的の対象物をより鮮明に映し出せる。血管を鮮明に撮像化できれば、精度の高い生体認証にも応用できるようになる(図2)。

 近赤外光による撮像技術は、環境計測にも有効である。大気拡散の影響を受けない、揺らぎや霞みの少ない像を得ることができる(図3)。

 近赤外光はがん細胞も撮像化できる。波長1.2μmの近赤外光を使ってラマン散乱を応用することで、がん細胞を識別できる。