植物を原料とするバイオプラスチックの特性が急速に高まってきた。耐熱性や曲げ強度などで、従来の石油系樹脂を超えるバイオプラスチックも現れている。さらに、将来の食糧問題を回避するために、非食用原料の開発も着々と進む。長年にわたってバイオプラスチックを開発してきたNECの位地氏が、バイオプラスチックの技術開発の最新動向とNECの取り組みについて解説する。
連載
石油系を超えるバイオプラ、非食用原料の活用に挑む
目次
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第3回:新たなセルロース系樹脂を開発、耐熱性や強度特性に優れる
(3)の非食用原料への切り替え技術は、将来の食料問題に対応するために今後重要である。非食用原料として最有力候補とみられているのは、セルロースである。植物の茎や木材の主成分であり、地球上に大量に存在している。それらを活用すれば、石油生産量の約30倍となる年間約700億トンという膨大な量の生産が可能にな…
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第2回:難燃性ポリ乳酸で電子機器を開拓、成形性や表面硬度を改良
(2)の電子機器などの耐久製品に向けたバイオプラスチックの技術開発として、汎用製品で普及が進むポリ乳酸の改良が検討されてきた。これまでに、燃えにくいポリカーボネートなどの石油系プラスチックを主成分に、ポリ乳酸と難燃剤などの添加剤を混合した「難燃性ポリ乳酸複合材」が実用化されている。
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第1回:汎用製品で普及するポリ乳酸、原料はデンプンからセルロースへ
樹脂(プラスチック)は、汎用製品から耐久製品まで、幅広い分野で利用が進んでいる。年間生産量は世界で約2.3億トン、日本で約1300万トンと膨大である。