システムまで自ら手がける
強みをコアに協業で開拓

 ソーシャル・デバイスの市場を拡大するために、電子部品メーカーは幾つものハードルを超えなければならない。まずは顧客に対して、部品単体ではなくシステム全体を提案できるようになる必要がある。インフラを手掛ける企業や公的機関には、電子部品の活用の経験やノウハウが少ないからだ。部品メーカーは、建築会社など異分野の企業と協力しつつ、自社でシステムを構築できる力を身につける必要がある。

 個別の部品にも課題がある。インフラ分野で特に重要になる高い信頼性や、利用個数を増やす条件である低価格化を達成するため、各社は工夫を凝らしている。

モニタリング・システムまで開発

 実際に、センサなどの部品だけでなくシステム構築まで手掛ける企業はある。富士電機は自社で開発した高感度の振動センサを使って、建造物のモニタリング・システムを中堅ゼネコンの戸田建設とともに作り上げた(関連記事1)。例えば大地震の発生後、利用者が建物を使い続けても安全なのか、避難した方がよいのか判断できる。

 開発したシステムは、同社の自社ビルでの実証を終え、既に実用段階にある。ビル、住宅、鉄道橋、高速道路高架、橋梁、ダムなど幅広い建造物に適用できるとする。