基地局機能のSoC化進む

 トレンドは、基地局機能のSoC化である。例えば、米Freescale Semiconductor社は、基地局装置向けのSoC製品群「QorIQ Qonverge」を持つ。パケット処理用のCPUと、ベースバンド処理用のDSPやアクセラレータ回路を1チップに集積した(図8)。「フェムトセル向けからマクロセル向けまで、処理負荷が異なる品種間で基本アーキテクチャを共通化している」(同社)のを大きな特徴とする。フェムトセル向け品は既に量産中で、ピコセル向け品も2013年内の量産に向けて移行準備を進めている段階だ。

図8 共通プラットフォームで多様なサイズに対応
図8 共通プラットフォームで多様なサイズに対応
Freescale社のスモールセル(ピコセル)向けSoCのブロック図を示した。フェムトセルからマクロセルまで、共通のアーキテクチャを用いることができるように設計した。(図:Freescale社の資料を基に本誌が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 米Broadcom社や米Qualcomm社といった、携帯端末向けのSoC市場を主戦場とする企業も、新市場を意識してスモールセル向けのSoCを用意する。Broadcom社は2013年2月にRFとベースバンドLSIを1チップ化した製品「BCM61630」を発表した。同社は「この製品をキッカケにしてスモールセル市場で3~5割のシェアを獲得し、世界一になりたい」とする。

 さらに、FPGA系の米Altera社や米Xilinx社もスモールセル向けにSoCを開発した。汎用のプロセサとFPGAを組み合わせたものだ。Xilinx社によれば「SoC化することで、従来品に比べて消費電力を35%低減できた」という。Altera社は「スモールセルは携帯電話事業者や国によって仕様が大きく異なる。さまざまな要求に対応するには、FPGAを用いるのが最適」と考える。