鉄道分野のデータ通信には、高速化に向けた二つの“難所”がある。一つが、地下駅。もう一つが、高速で移動する鉄道車両である。

 地下駅は一般に、地上設備からの電波が届きにくい上、地下用の通信装置を取り付けるのが難しい。設置工事に利用できる時間が短く、設置面積にゆとりがないからだ。作業をできるのは、列車を運行していない午前1~5時の4時間。だが、設置の準備や後片付けを考慮すると、作業をできる時間は実質3時間程度しかないという。

 加えて、地下駅には鉄道事業者の設備の他に、「防災無線や携帯電話網などの設備がひしめいており、設置面積が限られている」(UQコミュニケーションズ 建設部門 副部門長 兼 建設2部長の知識秀道氏)。