ポスターなどの印刷物に比べて、日時や地域別の掲示が容易、貼り替えの手間が不要、ユーザー属性を把握しやすい、といった理由から注目を集めるデジタル・サイネージ─。だが、広く普及しているとは言い難い。そんな中、駅舎や列車内のデジタル・サイネージがここ数年急成長している(図5)。

図5 サイネージ機器の導入が進む
ジェイアール東日本企画の「J・ADビジョン」は、広告売上高が年々拡大している。2010年度の段階で、7億円を超えた(a)。また、車内ディスプレイを用いる「トレインチャンネル」での広告売上高は、2010年度で50億円弱になった(b)。(図:ジェイアール東日本企画の資料を基に日経エレクトロニクスが作成)
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 その好例が、ジェイアール東日本企画が手掛ける、駅構内の「J・ADビジョン」や車内の「トレインチャンネル」である。いずれも媒体売上高(広告売上高)は年々増加し、2010年度で前者は7億円超、後者は50億円弱になった。

 こうした鉄道分野のサイネージ事業が伸びるのは、商業施設や屋外に比べて高い広告効果を期待できるからである。鉄道利用者は駅構内を移動して改札口を通り、ホームで列車を待ってから乗車する。こうした一連の動きの中で、利用者は何度も広告を目にする機会が多い。このため、告知効果の向上につながる。しかも、首都圏主要駅であれば、乗降する利用者数が非常に多い。