次世代技術の「実証の場」として鉄道分野が注目を集めている。鉄道事業者が省エネ対策や新サービスの展開に力を注いでいるためだ。 多くの設備を自前で持つ鉄道事業者は、次代のエネルギー・システムを担う力を秘めている。
連載
先端技術を散りばめるインフラ“鉄道”
目次
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省エネ編:消費電力の抑制に向けて太陽光発電やLEDを駆使
鉄道事業者が用いる電力量の約20%を占める駅舎での消費電力は、年々増加傾向にある。その流れを止めようと、太陽光発電システムやLED照明などが駅舎に投入されている。
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高速データ通信編:地下駅に広がるWiMAXレーザ通信は数百Mビット/秒
鉄道分野のデータ通信には、高速化に向けた二つの“難所”がある。一つが、地下駅。もう一つが、高速で移動する鉄道車両である。
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デジタル・サイネージ編:駅舎や車内で急成長、利用客の視線や行動を分析
ポスターなどの印刷物に比べて、日時や地域別の掲示が容易、貼り替えの手間が不要、ユーザー属性を把握しやすい、といった理由から注目を集めるデジタル・サイネージ─。だが、広く普及しているとは言い難い。そんな中、駅舎や列車内のデジタル・サイネージがここ数年急成長している。
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位置情報サービス編:スマートフォンを活用して駅と沿線の町の魅力を高める
首都圏の複数の鉄道事業者は、駅とその周辺の町を活性化しようと、スマートフォンと位置情報を活用した実証実験を繰り返している。キーワードは、「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」。これは、スマートフォンなどに表示するオンラインでの情報が、オフラインの実店舗の購買活動に影響を及ぼすというものである。い…
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新サービスと省エネ技術で、沿線の魅力を高める
新サービスや広告事業拡大に向けた新技術が、駅舎などの付帯設備に投入され始めた。 一方、サービス拡充や駅内施設の増加などから、駅舎での消費電力は増大傾向にある。そこで、太陽光発電システムやLED照明などの省エネ技術の採用も活発化している。
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新技術の“ゆりかご”に、事業者が導く新たな姿(2)
鉄道車両の分野では省エネ対策が進んでいるものの、現在大きな課題として浮上しているのが、駅舎などの付帯設備の電力消費量である。
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新技術の“ゆりかご”に、事業者が導く新たな姿(1)
次世代パワー半導体や大型蓄電システム、ワイヤレス給電、仮想現実(AR)技術─。こうした先端技術を、鉄道分野から実用化させようとする動きが加速している。鉄道分野を「実証の場」として積極的に活用し、新技術普及のきっかけにするというものだ。