「まねされる」ことが最大の評価

 卵1個で簡単に作れるオムライスの写真とレシピを紹介したWebページに,同様のオムライスの写真が何百点も並ぶ。

 レシピを紹介するWebサイト「クックパッド」が料理好きに人気だ(図2)。なんと,月間500万人以上が利用する。成功の秘密は,レシピを公開する会員のモチベーションを高める仕組みにある。掲載されたレシピを基に料理を作った会員たちは,レシピのページに写真やコメントを載せる。要は,レシピを公開する人たちは,「まねされる数」を競っている。「自分の生み出したモノが,他人にまねされることは,作った人にとって最大の評価の一つ」(クックパッド)。この仕組みが功を奏し,現在約50万件のレシピが登録されている。

図2 自慢できる仕組みがコミュニティーの発展に貢献
50万件の料理のレシピを紹介する「クックパッド」(a)や,2300件の手芸品を紹介する「アトリエ」(b),回路図を公開する「@ele」(c)などのサイトが登場している。
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 どのレシピが最もまねされたか,つまり価値が高いかは,ユーザーが特に知りたい情報の一つである。このため,クックパッドでは,個々のレシピがまねされた数は無料で閲覧できるが,そのランキングの閲覧には月額294円を課金している。

 こうしたコミュニティーでは,他人がまねしやすい作品を紹介することが人気を獲得する秘訣となる。ユーザーが投稿した手芸品や雑貨の作り方を紹介するWebサイト「アトリエ」では,「一般の人の作品は,プロの作品より評判になることが多い」(アトリエを運営するエキサイト)という。プロは一般の人が使わないような高価な道具を使ったりするが,一般のユーザーは誰もが使える道具を基にした作り方を提案するからである。

 このように,UGD時代には自分の作った設計図を公開して互いに評価するようなコミュニティーが多数登場し,それを活性化するための仕掛け作りを競うようになるだろう。