日経ものづくり

【Part3】第3回 あなたは「どう思う」、そして「何をしたい」

小林三郎=中央大学 客員教授(元・ホンダ経営企画部長)
2013/07/29 00:00
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 ホンダの異質性と多様性の最大の特徴は、その異質性と多様性を哲学が支えていることだ(図1)。

図1●ホンダにおける異質性と多様性
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 異質性や多様性を重視するといっても、「何をやってもいい」わけではない。個人的な興味や学会論文を書くための研究だけをしていたら、企業は成り立たない。異質性や多様性は、自分勝手とは異なる。確かにホンダの人たちは、「興味の対象」や「価値観」などの項目が人によってバラバラの方向を向いている。しかし、哲学の階層、つまり「3つの喜び」と「人間尊重(自律、信頼、平等)」というホンダ独自の哲学の階層では、しっかりと一致している。

 哲学という強固な基盤があるため、逆にその他の階層では格段に自由度が高い。哲学から外れていなければ、愚かな失敗は起こらない。哲学がしっかりしているから、ホンダは異質で多様な人材が自由に動ける土壌を用意でき、異質性と多様性を内包した組織がイノベーションという観点において、圧倒的な強さを発揮し得るのだ。

当事者として考える

 さらに詳細を見ていこう。イノベーション過程が、試行錯誤が必要なサーベイの段階から具体的な開発段階に入ると、チームとしての一体性が重要になってくる。チーム全員によって共有された開発コンセプトに基づき、一丸となって開発を進めなければならない。

 ここでいうコンセプトとは、「お客様の価値観に基づき、ユニークな視点で捉えたモノ事の本質」のこと。優れたコンセプトで固まると、それに基づいてチーム全員の方向がそろうのである。皆さんはもうお気付きかもしれないが、ホンダの場合、このコンセプト作りの主役となるのが、「ワイガヤ」と「三現主義」だ。多層的でカバー範囲の広い異質性と多様性によってイノベーションの方向性を探索し、ワイガヤと三現主義でコンセプトに集約して、そこに開発リソースのすべてを集中させる。これがホンダのやり方だ。

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