最後に、前述した異質性や多様性を伸ばすための仕掛けを説明しよう。それはごく単純で、「あなたはどう思う」と繰り返し質問することだ。例えば、ワイガヤので最も基本となるのは、次の3つの質問である。

①あなたの会社(組織)の存在意義は
②愛とは何か
③あなたの人生の目的は何か

 実は、その質問の中には「あなたはどう思う」が隠れている。何事も当事者として考えることが重要なのだ。これは、周囲の人からしつこく聞かれる方が効果的だが、自ら問い掛けても構わない。議論の最中や何かを決定/選択する際、「私はこう思う」を突き詰めていけば、「なぜそう思うのか」が見えてくる。すると「私は何がしたい」かが明確になってくる。それがあなたの個性であり、他の人との違いである。ホンダには異端者、変人、異能の人が集っていると言ったが、それは外見のことではない。魂からわき出る「これをやりたい」という想いこそがイノベーションを加速させる異質性であり、多様性なのである。

■この記事の基になった『日経ものづくり』の連載は,書籍『ホンダ イノベーションの神髄』として2012年7月に弊社より刊行いたしました。Tech-On!書店Amazonなどインターネットからも購入いただけます。

■小林氏には現在、その連載の続編に当たるコラムを『日経ものづくり』に執筆していただいています。第1回に当たる2013年7月号では、「ホンダ イノベーション魂!2『何をつくるか』が大問題だ」を掲載しました。