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【Part3】第1回 魔境の地、本田技術研究所

小林三郎=中央大学 客員教授(元・ホンダ経営企画部長)
2013/07/04 00:00
出典:日経ものづくり、2010年12月号 、pp.99-101 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 異質な人が集まるとイノベーションが成功しやすくなる。よくいわれることだが、異質で多様な人材が自由に動ける組織をつくることはとても難しい。「指示待ちではなく、自分の考えで仕事に取り組んでほしい」と話す上司は多いが、許容度を超えて異質で多様なアプローチを取ると、「なぜ指示通りにできない」と怒られてしまう。組織には暗黙のうちに、異質性や多様性に対して許される限界があるのだ。

 

 ところが、イノベーションに求められる異質性や多様性は、その限界を大きく超える。今回は、イノベーションにどんな異質性や多様性が必要なのかを考えてみたい。それには、ホンダがクルマに参入したばかりのころの本田技術研究所が、格好の題材になる。

「よう、あんちゃん」

 筆者は、早稲田大学理工学部を卒業後、米カリフォルニア大学バークレー校に留学し修士を取得した。専攻はもちろん自動車工学だ。そのころは、海外留学は珍しく、しかもバークレーは当時から西海岸の名門校だった。

 今思うと若気の至りだが、1971年に本田技術研究所に入社した際、筆者は米国で最新の自動車技術と論理的・分析的な思考を身に付けたという自負があった。自分は頭がいいとも思っていた。ところがいざ出社してみると、バークレーとは全くの別の世界だった。

 正直言うと、良い印象は全くなかった。言葉はがさつで、しょっちゅう怒鳴り合っているし、メシはぴちゃぴちゃ音を立てて喰くう。「食事を取る」なんて生易しいものではなく、まさに「メシを喰って」いた。話してみるとケチで強欲で自分勝手。いいと思ったことしかやらないし、したくないと思ったらテコでも動かない。米国では「Mr. Kobayashi」だったが、ホンダでは「よう、あんちゃん」である。服のセンスなんて言わずもがな。すべてが洗練とか上品とかの正反対だった。

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