超自然界への参入でデバイス市場は継続成長

 デバイスが超自然界に入り込み,進化を促すようになると,デバイス市場において正のスパイラルが再現する可能性がある。デバイスのコスト・パフォーマンス向上と,それに伴う市場規模の拡大である。こうなると,超自然界はデバイス・メーカーにとってうまみのある市場となる。

 これまでデバイスは,技術革新により継続的にコスト・パフォーマンスを向上し,応用機器内部での利用範囲を広げてきた。それと同時に,応用機器の性能向上と低コスト化をもたらして,応用機器のパーソナル化による需要拡大を加速している。超自然界向けデバイスにおいても進化が継続するなら,同様のことが起きる可能性が高い。

 農業を例に考えよう。デバイス技術が入り込み始めた初期の農業は,雨水センサーと潅水システムを自然の農業に組み合わせた程度だった。これが,植物工場になると,光,温度,湿度まで制御するようになる。光なら,蛍光灯やLEDのコスト・パフォーマンスの向上によって,すべての光源を人工的に与えられるようになってきた。そして部分制御ではなく,閉空間での全体制御が,商業レベルで実現しつつある。さらに将来には,LEDに加え有機ELなどの発光デバイスのコスト・パフォーマンス向上によって,植物工場の低コスト化と小型化が可能になるだろう。この結果,閉空間の植物工場を各家庭が所有できるようになる可能性は十分にある。

 植物工場が,多数の発光デバイスを搭載し,家庭にドンドンと入り込むことで,発光デバイスの市場はさらに拡大する。