航空・宇宙 航空機と宇宙開発の技術・産業動向を追う
 
第2回:超小型衛星の可能性

第2回:超小型衛星の可能性

永島 隆=アクセルスペースCTO
2013/11/18 00:00
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 超小型衛星とは、文字通りサイズ・重量が小さな衛星である。では、衛星が小さいことがどんなメリットを生むのか。今回は、超小型衛星の特性を解説し、民間による宇宙ビジネスが成り立つ可能性を紹介する。

大型衛星は数百億円の国家プロジェクト

 従来の大型衛星は、衛星本体の開発に100億~1000億円、打ち上げ費用に数十億~百億円程度が必要となる。この規模になると、国家プロジェクトが中心となる。

 また予算の制約から、チャンスが極めて限られてしまう。数少ないチャンスなので失敗は許されない。後継の衛星が打ち上げられるころまで、寿命(通信衛星の場合、近年では設計寿命15年以上が要求される)も延ばす必要があり、高い信頼性が求められる。衛星設計は保守的にならざるを得ず、過去に宇宙での使用実績がある部品を使うのが一般的となる。

 このため、民生分野のイノベーションを取り込みにくく、特殊少量生産なので部品単価も高くなる。システムの信頼度を確保するためには、冗長設計を多用する必要があり、部品点数が増えてサイズと重量も増す。さらにインタフェースの組み合わせ数も増え、設計が複雑になり試験工程が増える。つまり、大型衛星の開発は大規模・複雑化・長期化する。結果として、やはり「宇宙は高い」ということになってしまう。

従来の大型衛星を開発する流れ
従来の大型衛星を開発する流れ

超小型衛星で低コスト化すれば民間参入のチャンス

 宇宙でも低コストを実現できれば、民間でも参入できるチャンスが増える。民間の場合、ビジネスアイデアを実現するまでのスピードを重視するため、短納期であることが求められる。極力シンプルな設計で部品点数を減らすことができれば、システムが単純化し、設計・試験の工程を短縮できる。同時に、小型化により打ち上げコストも低減できる。

 また、機器やシステムを標準化すれば設計を再利用でき、開発期間が短縮できるだけでなく、量産効果によるコスト削減に加え、統計的信頼性向上も期待できる。超小型衛星とは、単にサイズが小さいだけではなく、従来の衛星開発のスタイルをも変革するものなのである。

超小型衛星を開発する流れ
超小型衛星を開発する流れ
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