デバイス・ビジネスの未来● 100億円事業を100個作る

 半導体やディスプレイにおける本流の市場と技術がデバイス・メーカーに収益をもたらさなくなる時,デバイス・メーカーはどのようなビジネス形態を追求すれば良いのだろう。

  「バラバラの時代が来る」。東京大学先端科学技術研究センター実装工学(IMSI)研究部門教授の奥村勝弥氏は,デバイス業界の将来をこのように見通す。DRAMのように1兆円の累積売り上げを見込んで,1万人の技術者を投入して1000億円の開発投資ができる製品は,もはや存在しない。かつてDRAMには誰もが着目し,3年で4倍の微細化という誰にとっても明確な目標に沿って開発を進めてきた。そのような技術と市場の両面において,よりどころが存在する時代は「もう来ない」と同氏は指摘する。

  たとえ年間に数兆円を売り上げる大手のデバイス・メーカーといえども,1兆円規模の売り上げを見込めなくなるなら,自ずと対象とする市場も変わってくる(図4)。例えば,DRAMよりも二ケタ小さな数十億~100億円規模の売り上げの事業を多く集め,個々の事業で高い利益率を確保するという方法がある。そのような事業規模では,1事業当たりの開発投資は数億~10億円規模であり,人員は数十~100人規模になる。

図4●さまざまな事業領域から100億円の市場を集める
デバイス・メーカーの事業領域は,2010年には,半導体以外に拡大し,その種類は増え,1事業当たりの売り上げは100億円規模になる。日経マイクロデバイスが作成。