機能部品ライブラリが潤沢に

 組み込みソフトウエアやハードウエアのオープンソース化が進むことで,機器開発に使える機能部品ライブラリは今後,これまで以上に潤沢になっていくだろう。

 現状では,ソフトウエア・プログラミングや,回路設計などの専門スキルが要求されるため,一般のユーザーがライブラリを活用できる状況ではない。だが,近い将来,ユーザーが各機能モジュールの組み合わせを選ぶような作業だけで簡単に機器を設計できる支援ツールなどが登場することになりそうだ(図6)。究極の目標は,「Webサイトと同じくらい簡単にネット家電を開発できるようにすること」(Bug Labs社の創業者兼CEOのPeter Semmelhack氏)である。

 こうしたツールの登場は,これまでメーカーの専門家だけが握っていた機器開発のノウハウをユーザーに開放する“大衆化”を促すことになる。ちょうどブログなどユーザー参加型のネット・サービスが登場したことで,コンテンツの作成・投稿のハードルが一気に下がったのと同じインパクトを機器開発に与える。

 こうした支援ツールのごく一部の機能を実現しているのがパソコンのBTO(build to order)だろう。今のところ,パソコンでは決められた筐体に内蔵するマイクロプロセサやHDD,メモリ容量など限られた選択肢の中からしか選べない。UGD時代の機器では,ユーザーが選びたい筐体デザインや,内蔵する機能部品の数や組み合わせは,パソコンに比べ格段に多く,複雑なものになる。より機器の心臓部に近い部分まで簡単に組み合わせられるユーザー向け開発支援ツールの開発が不可欠になる。