ごく少人数で家電を開発

 アウトソーシング化の進展は,ごく少人数でデジタル家電を開発できる環境を生み出した。これを象徴するのが,米国で増えているWebガジェットの開発ベンチャーである2)。動画共有や地図情報といったネット・サービスと連携することに特化したデジタル家電を,数人の開発体制で製品化する企業だ。数千台という少量生産を請け負う製造受託サービス(EMS)や,外部の開発者といった開発・製造のアウトソーシングを積極活用することで,社内に抱える開発人員の数を極力抑えられるようになった。

 フリービットはネット家電分野への参入に当たり,デジタル家電ベンチャーのエグゼモードと資本業務提携した。機器設計で連携することはもとより,エグゼモードが持つ中国などの製造受託サービスの活用ノウハウを得ることが狙いだ。主なハードウエア設計はエグゼモード,製造は中国などの製造受託サービスと,外部リソースを積極活用する。社内ではソフトウエアを中心に10人程度の開発者で複数の製品を並行して開発している。「ネット家電に参入できるのは,少ロットでも製造を請け負ってくれる製造受託サービスの存在が大きい」(フリービットの石田氏)。

 こうした動きは,UGD実現に向けた開発環境の一端が整い始めたことを示唆している。UGDの開発に参加するのは,ミニ・コミュニティーに属する個人や少人数のグループである。その中に開発のプロがいることもあり得るが,どちらかと言えば素人に近い可能性が高い。ユーザーのアイデアを機器として具現化するのは,コミュニティーの外部にいるハードウエアやソフトウエアの開発者,製造受託サービスなどである。

 ここ数年で,世界中の開発者をWebサイトを経由して一時的に雇うサービスなども米国を中心に増えている。米oDesk Corp.などだ。こうした動きがさらに発展すれば,少人数のユーザー・コミュニティーがデジタル家電の開発・製造をアウトソーシングできる体制に近づいていく。