EUV露光と450mmへの大口径化のうち、Intel社などがASML社を支援することでにわかに現実味を帯びてきたのが、450mmへの大口径化だ。「2017~2018年には量産が始まるだろう」(野村證券の和田木氏)との見方が強まっている。ASML社は2015~2016年にプロセス開発用、2018年に量産用の450mm対応露光装置を出荷する計画を打ち出した(図9)。

図9 露光装置は2018年に照準
ASML社は2015~2016年にプロセス開発用、2018年に量産用の450mm対応露光装置を市場投入する計画である。ドライ露光と液浸露光、EUV露光のすべての装置で450mmに対応する。(図:ASML社の資料を基に本誌が作成)
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  この動きは、製造装置業界が450mmへの移行を本格化させるキッカケになりそうだ。各社は従来、開発負担が大きい450mmへの移行には二の足を踏んできたが、その状況が変わる。「450mm対応の露光装置がないので、装置開発に必要な技術評価ができない」という言い訳が通じなくなるからだ。つまり、露光装置はエッチング装置や成膜装置などの周辺装置を次々と450mmへ対応させていくための“一番目のドミノ”。Intel社などがまずASML社に白羽の矢を立てた理由もそこにある。

 実際、装置メーカーは450mmへの対応に本腰を入れ始めた。装置業界3位の東京エレクトロンは「2016年ごろをターゲットに量産用装置を開発する。技術ハードルは低くないが、何とか対応できるだろう」(同社 取締役副会長の常石哲男氏)とする。装置・部材関連の業界団体で、これまで450mmへの移行には否定的だったSEMI(国際半導体製造装置材料協会)も、「業界が450mmへ移行することはもはや明確」(SEMIジャパン 代表の中川洋一氏)との姿勢に転じた。

 こうした動きに勢いを得て、Intel社など推進派メーカー3社は今後、450mmの要素技術を装置メーカーと共同開発する。そのための場として、米GLOBALFOUNDRIES社、米IBM社とともに2011年9月に立ち上げたのが「The Global 450mm Consortium(G450C)」である(図10)。米国ニューヨーク州のCollege of Nanoscale Science and Engineering(CNSE)of the University at Albanyに拠点を置くコンソーシアムだ。

図10 ニューヨーク州に一大拠点
G450Cには大手半導体メーカー5社が結集する。米国ニューヨーク州のCNSEを拠点に、450mmへの移行に向けた要素技術を装置メーカーと共同で開発する。(写真:G450Cが提供)
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 G450Cの目標は、半導体メーカーが「2014~2016年に450mmのパイロット(試作)ラインを構築できる環境を整える」(G450C, Director of Program CoordinationのDavid Skilbred氏)こと(図11)。そこに向けて、14nm世代以降のプロセス技術の実証を進める。

図11 2014~2016年のパイロット・ライン構築を目指す
G450Cは、450mmウエハーを用いた先端プロセス技術の実証を進めていく。同コンソーシアムに参画する半導体メーカーが2014~2016年に450mmのパイロット・ラインを構築できる環境を整えることを目指す。(図:G450Cの資料を基に本誌が作成)
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