半導体の低コスト化を長く支えてきた微細化技術に危機が迫っている。メモリや論理LSIを微細化しても、リソグラフィ・コストの上昇やデバイスの物理的な限界によって、コストが下がらなくなってきたのだ。この状況を打開すべく、半導体業界が動き始めた。450mmウエハーへの大口径化とEUV露光の実用化への取り組みだ。 半導体のコストダウンを維持できるかどうかは、この“2大プロジェクト”の成否に懸かる。
半導体のコストダウンは止まるのか?
動き出す450mmウエハーと瀬戸際のEUV露光
目次
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【EUV編(2)】課題は光源の高出力化
LPP方式を採用しながら、高い変換効率を強みにするのが、ギガフォトンである。変換効率を高めるプリパルス技術として、Cymer社はCO2レーザを用いるのに対し、ギガフォトンは波長1μm帯のYAGレーザを利用する。「YAGレーザの方が、プリパルスで生じたSn表面のプラズマを透過しやすく、より効率的にS…
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【EUV編(1)】ここ1~2年で勝負が決まる
EUV露光技術の開発は遅れに遅れている。最大の理由は、EUV光源の出力が上がらないことだ(図14)。量産時に必要とされる125枚/時の処理速度(スループット)を達成するためには、露光装置への光投入口(中間集光点)におけるEUV光の出力を250Wに高める必要がある。これに対し、現状の出力は10~20…
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【450mm編】2018年の量産化が視野に入るも巨額の開発負担
EUV露光と450mmへの大口径化のうち、Intel社などがASML社を支援することでにわかに現実味を帯びてきたのが、450mmへの大口径化だ。「2017~2018年には量産が始まるだろう」(野村證券の和田木氏)との見方が強まっている。ASML社は2015~2016年にプロセス開発用、2018年に…
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【業界動向編(2)】逃げ道がない論理LSI
メモリに比べて微細化のペースは遅いものの、実は手詰まり感が最も強いのがマイクロプロセサやSoC(system on a chip)などの論理LSIである。メモリとは異なり、微細化に代わる決定的なコスト低減手法が存在しないからだ。そこで、論理LSIではまったく新しい製造技術の導入が切望されている。具…
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【業界動向編(1)】薄れる微細化のコスト・メリット
半導体の低コスト化を長く支えてきた微細化技術に危機が迫っている。メモリや論理LSIを微細化しても、リソグラフィ・コストの上昇やデバイスの物理的な限界によって、コストが下がらなくなってきたのだ。この状況を打開すべく、半導体業界が動き始めた。450mmウエハーへの大口径化とEUV露光の実用化への取り組み…