「スマートリモコン」という言葉をご存じでしょうか。

 ここで言うリモコンとは、テレビやセットトップ・ボックス(STB)、HDDレコーダーなどのAV(オーディオ・ビジュアル)機器を遠隔操作する装置を指します。

NTTぷららは、テレビ向けのエンターテインメント・サービス「ひかりTV」向けにスマートリモコンのシステムを開発した。
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 世界で最初のテレビ・リモコンが登場したのは1950年代といいますから、実に約60年ほどの歴史を重ねた装置です。登場した当時のリモコンには、たった数個の操作ボタンしかなかったそうですが、今や多くの操作ボタンを備えた複雑なものになりました。

 この昔ながらのリモコンによるボタン操作とは異なる、新しいユーザー体験を提供する。それがスマートリモコンの目指すゴールです。具体的には、この1~2年で急速に普及しているスマートフォンやタブレット端末をリモコンとして活用します。

 これらの携帯端末が共通して備えているのはタッチ・パネル。その直感的な操作を用いて、映像をはじめとする膨大なコンテンツの中から好みのものを探し出し、それを選んでテレビの大画面で楽しめるようにするのです。

スマートリモコン、世界で開発が活発化

 スマートリモコンは今、携帯端末の普及を背景に世界で開発が活発になっている技術の一つ。タッチ・パネルの直感的な操作は、ユーザーが短時間でより多くのコンテンツに出合う仕組みを実現する可能性を秘めています。

 さらに、携帯端末の画面をテレビの大画面と連携するセカンド・スクリーンとして用いることで、新しいサービスを創出できるという期待も高まっています。先進国を中心に通信事業者や携帯電話事業者、ケーブルテレビ(CATV)事業者、そして家電メーカーが「次世代リモコン」を生み出そうと開発競争を繰り広げているのが現状です。テレビをこれまで以上に面白くする救世主として関心を集めています。

 こうした中、NTTぷららは、世界でも例を見ないスマートリモコン向けの新技術を開発しました。テレビ向けの映像配信を中心に展開しているエンターテインメント・サービス「ひかりTV」向けの技術です。新技術によりサーバーからクライアント端末へ、情報のプッシュ配信や、リアルタイムな双方向通信が可能になります。

 新技術の用途はリモコンに限りません。いずれは、ユーザー同士のコミュニケーション・ツールや、ユーザーへのお知らせツールとして応用できそうです。外部のWebサービス開発者や機器メーカーに技術仕様を開示し、新しいサービスの開発基盤として活用してもらうことも検討しています。