アプリケーションプロセッサは、多くの場合、英ARMなどからプロセッサコアのライセンスを受け、設計自体を購入して作ることができる。このため、現在アプリケーションプロセッサを出荷しているメーカーも、元は特定分野の専業メーカーだったり、逆に総合メーカーだったりする(表1)。つまり、アプリケーションプロセッサ以外にそれぞれが得意分野を持っているわけだ。

表1●主なアプリケーションプロセッサメーカーの自社技術
  CPU GPU ベースバンド技術 無線LANなど メモリ技術 製造
NVIDIA        
Broadcom      
Samsung Electronics        
Qualcomm 独自実装    
ST-Ericsson         *1
*1:STMicroelectronics

 例えば、無線技術を得意とするメーカーであれば、無線部分をアプリケーションプロセッサに統合したり、別途無線LANやBluetoothといったスマートフォンに必須の無線関連機能を統合したデバイスを開発したり、といった方法を取る。実際、無線技術を持つ半導体メーカーは、無線デバイス自体を製品として販売しており、スマートフォンやタブレットのセットメーカーがそれを採用する場合もある。

統合せずに汎用部品化して低価格化に寄与

 図1は、スマートフォンの内部構造を大まかに表したものだ。タブレットも画面サイズなどが違うだけで、基本的な構造はさほど変わらない。また、液晶やタッチパネル、カメラ、バッテリーといった部品は、純粋な半導体ではなく、SoCには統合できない。

図1●スマートフォンの大まかな内部構造
スマートフォンは、アプリケーションプロセッサや外部デバイス、外付け部品などから構成されている。
[画像のクリックで拡大表示]

 この中にある半導体デバイスは、それぞれ理由があってSoCから独立している。

 無線デバイスは一般的にデジタル部分であるベースバンド部とアナログ回路となるRF部(フロントエンドともいう)などから構成されるのが一般的だ。デジタル回路とアナログ回路では、製造プロセスの違いなどがあり、1つのダイに統合することは一般的には難しい。統合自体は不可能ではないものの、コストを考慮すると別に製造したほうが有利な場合もある。