量産開始までに3年以上

 (C)生産段階は6 工程に大別できる(図3)。

 (C1)量産工程への移行。開発した製造プロセスを実際に量産に使う装置で生産できるように摺り合わせる過程である。約1カ月かかる。

 (C2)生産規模の拡大。量産化に成功したらその規模を必要なレベルに拡大させていく。およそ6カ月をかけて量産規模を増やす。

 (C3)サプライ・チェーンの管理手法の策定と実践。量産したデバイスの販売・マーケティング,材料調達,製品や材料の運搬などのサプライ・チェーンを実現させる工程である。ここには6カ月ほどかけることになる。

 (C4)歩留まり向上とコスト低減。これは量産に入ってからも継続して進めていく。

 (C5)価格決定が重要な要素になる。MEMS デバイスによっては市場価格が年率13%も低下していく例があり,こうした価格に追従していく必要がある。同時に価格低下を抑えることも欠かせない。

 (C6)新たな成長のための次世代製品を計画する必要がある。例えば,最初の製品をベースとして応用分野を拡大する派生製品などを考える。

 このようにMEMSデバイスの事業化には,およそ3年はかかる。3年というのは,各工程で順調に進行した場合である。実際には途中でトラブルに見舞われることがあり,多くの場合は事業化までにもっと長い期間を要する。