危機感を持った金型メーカーが、一度は失いそうになった国際競争力を取り戻そうと動き出した。その地に選んだのは、沖縄。ものづくりを取り巻く世界の環境が変わった今、もはや沖縄は「遠隔の地」ではない。「アジアに最も近い日本」なのである。日本と世界をつなぐ拠点として産声を上げた金型基地「沖縄」の今を追った。(池松由香)
連載
世界への架け橋 金型基地「沖縄」
目次
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第5回 専門家がひざ突き合わせシナジー効果
NTTデータエンジニアリングシステムズ (CAD/CAMなど開発・販売)
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第4回 多能技術者を育てグローバルな対応を強化
メルコ(金型の設計・製作・販売、2012年4月に親会社のヤマハ発動機が吸収)
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第3回 新興国で需要見込める製品を生産
大垣精工(超精密金型などの設計・製造・販売)
大垣精工(本社岐阜県大垣市)は、ハードディスク(HDD)用超精密部品やクルマ/二輪車に搭載される排ガス浄化装置用触媒を生産するための「超精密金型」を製造している。同社の金型でプレスしたHDD部品は、関連会社のセイコーハイテック(本社岐阜県大垣市)が生産し、その国内シェアは60%以上に上る。
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第2回 日本に技術を蓄えつつアジアで戦う
2つめの競争力である人材力は、具体的には若い働き手の労働力を指す。実は沖縄には、琉球大学工学部をはじめとする大学、工業高校、工業専門学校において工学系の教育を受けた人材が、年間約3000人も輩出されている。この労働力を生かさない手はない。(図1)
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第1回 技術競争力を高める「3つの力」
日本で造るのか、それとも海外で造るのか─日本と海外のはざまで葛藤を続ける日本のメーカーに、一石を投じる金型業界の取り組みが今、注目を集めている。舞台は、日本最南端(有人)の地、沖縄。本島中部東海岸にあるうるま市の特別自由貿易地域(特自貿)内に2010年7月に誕生した、青い屋根がトレードマークの小さな…