自動車/家電メーカーといった見込み生産中心の大企業と、産業機械/設備機械のメーカーや受注生産中心の中小企業では、求められるITシステムの内容がかなり異なる。これまでは、単純に自動車や家電のメーカーはIT化が進んでいて、産機や設備のメーカー、中小企業が順次その後追いをするといった見方が多かった。システムの内容も、大企業向けのものをスケールダウンしてコストを抑えたものでよい、という考えが主流だった。

 しかし、実際にはそう単純な構造ではない。自動車/家電のメーカーが大量生産で消費者向けの大きな市場をカバーする一方で、産機/設備メーカーや中小企業は専門的な技術で、それぞれ顧客の要望にきめ細かく取り組む。大量生産品はメーカーの手を離れたら普通はそれで縁が切れるが、産機や設備は顧客の元で長く稼働し、メーカーは顧客と長く付き合う。アフターサービスの在り方も異なる。

 早い話が、大企業がやらない仕事をしているのだから、事業上の課題も、それを支えるITシステムも当然異なってしかるべき。そして、産機/設備メーカーや中小企業の多くで独特の問題として注目され始めたのが、「過去に出荷して顧客先で稼働している製品の情報が分からない」という現状だ。