[2]ジョイントデザイン
 ジョイントデザインでは、部品間の挿入/ 抽出の関係を見た上で、「結合方法」と「結合数」、スナップフィットやねじなどの結合要素の具体的な形状や位置といった「細部要素」について検討する(図4)。結合は、動作にかかる最小時間と最大時間の変動幅が最も大きいことから、少しの工夫で大きな効果を得られる。

図4●ジョイントデザインの構成と思考手順
図4●ジョイントデザインの構成と思考手順
ジョイントデザインは、「結合方法」「結合数」「細部要素」の3つの要素で構成される。スナップフィットやねじなどの結合方法を選んだら、それぞれの部品に対して何カ所で結合するかを決める。結合数の選定は、選んだ結合要素の形状や方向などの細部要素を煮詰めながら進める。
図5●結合方法ごとの組立性/分解性評価
図5●結合方法ごとの組立性/分解性評価
スナップフィットは組立性は良いが、分解性で難がある場合がある。ねじ留めは、組立性/分解性のどちらも安定して評価が高い。

 「結合方法」を、組み立て/分解時に結合/分解しやすいかどうかという視点でまとめたのが図5だ。組み立てにおいて最も容易なのがスナップフィットで、次にねじ留め、リング留め、圧入が続く。ただし、ここでは1カ所当たりの容易さを示しているため、結合数が増えれば動作時間も増加する点に注意が必要だ。

 一方、分解においては、スナップフィットが場合によって「容易~困難」、ねじ留めが「普通」、リング留めとはんだ付けが「困難」、圧入、かしめ、接着が「困難~非常に困難」、溶接が「非常に困難」と、同じ結合方法でも容易さに幅があることが分かる。特に、圧入、かしめ、接着、溶接では分解できない場合もある。

 これらを加味した上で結合方法の選定をしたら、次に「結合数」と「細部要素」について考える。スナップフィットはねじのように標準化されてはおらず、部品に合わせて任意の形状に決められるため、正しく理解しないと大きな失敗につながる可能性がある。そこで、第3回ではスナップフィットを例に、検討の進め方を紹介しよう。