価格情報を入念に調査

 日本に何度も来たことがあるBさんは、スマートフォンで事前に日本の価格.comなどのウェブサイトを使って価格情報を入念に調べており、店頭の商品価格と比較していた(図2)。Bさんは日本語を理解できないが、商品の検索は型番で行える。友人知人や親戚から依頼のあった商品についてはその型番をメモして、検索するのである。もし中国で買うよりも価格が高い場合は、購入しなかった。

図2 Bさんは、スマートフォンで価格情報サイトの価格情報を入念に調べており、店頭の商品価格と比較していた。
図2
Bさんは、スマートフォンで価格情報サイトの価格情報を入念に調べており、店頭の商品価格と比較していた。
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 加えて、これはどの中国人観光客にもいえることであるが、家電量販店で買い物をする場合には、店舗にいる中国人スタッフの手助けを必要としていた。リストにある詳細なデータと合致する特定の商品を買いたいのであって、違った商品を買ってしまって後悔したくない。そのため購入にはどうしても慎重になる。特に家電は、「化粧品より複雑なので、中国人スタッフのいない電気屋さんでは買い物できない」(Bさん)ということになる。「漢字を見ればだいたい分かるから、買い物は特に困らない」と言っていたAさんも、家電を買うときには中国人スタッフの力を借りていた。日本語の勉強をした経験があり、日本への旅行が2回目というDさん(20代女性)も、家電量販店で長い時間を過ごしたが、お店の中国人スタッフに事細かに質問をしていた。

 全員に共通しているのは、「とにかく旅行中は体力の続く限り観光やショッピングを楽しみ尽くしたい、そのためにショッピングはなるべく効率的に行いたい」との考えを持っていることだ。そのため、日本の店舗側は、単純に丁寧なサービスを提供すればよい、というものでもない。「商品説明は丁寧でいいけど、時間のない中でショッピングをしているので、説明や支払いなどはもっと簡潔にやってほしい」(Bさん)のである。