無線LANとスマホで実現

 ここへ来て、屋内地図サービスが相次いで始まったのは、屋内測位技術を手軽に利用できるようになったからだ。屋内ではGPSによる測位が困難なため、屋内向けの新たな測位技術が欠かせない。候補となる技術は数多く提案されていたものの、導入コストを誰が負担するのかが、実用化の足かせとなっていた。

 これに対してGoogle社やヤフーは、急速に普及が進んだ無線LAN基地局を測位インフラとし、スマートフォンを受信端末として流用することで、一気に実用化へと踏み出した注3)。例えば、Google社の屋内地図サービスが利用できる大丸東京店では、既に設置済みの無線LAN基地局のみを利用してサービスを開始することができた注4)。「追加投資が不要で将来性が見込めるため、やらない手はない」(大丸松坂屋百貨店)として、店舗側がサービス提供者の提案に乗り気になったのである。

注3)無線LAN基地局は、携帯電話事業者などが競うように設置を進めている。調査会社のBCNによると、スマートフォンは、2011年12月時点で携帯電話機の販売台数構成比で77%に達した。

注4)Google社の関係者が、丸一日かけて大丸東京店の店内を歩き回り、無線LAN基地局のデータベースを構築した。