日本から,台湾,韓国,そして中国─。内海信二(1980年代後半は,タンディー・エレクトロニクス・ジャパン代表取締役社長)は,1970年代から1980年代にかけて,米国の家電チェーン「Tandy RadioShack」向け製品のアジア地域の調達業務を一手に握る,すご腕のバイヤー(購買担当者)として名をはせた人物である。

 2010年─。1987年に米Tandy Corp.の仕事を退いてから,既に20年以上経過した。80歳を迎えた内海はしかし,いまだに現役の仕事人である。彼を頼りにする企業が後を絶たないからだ。実際現在も,ある大手電機メーカーの中国進出を手助けしている。

 企業が内海を頼るのは,彼が仕事を通じて培ったアジアの強力な人脈故である。特に,内海自身が「ポン友」と呼ぶ二人の人物,「荘さん」こと台湾のC. S. Chuang(荘昭瑞)と,韓国のJ. K. Lee(李重九)との深いきずなは象徴的だ。彼らから広がったつながりが,ある意味,内海が仕事から離れることを許さないとも言える。