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会場からC氏 今の議論とは違いますが、V=F/Cで、今まではVが1を超えないという話があります。その辺に疑問があるんです。これについてはいかがでしょうか。

佐藤 この件は、私が25年ぐらい前にVE誌に「Vは1を超える」という論文を投稿しています。そのころから、そう思ってはいますが、ただしセミナーの中では1を超えないと教えています。なぜかというと、実際に実績価値標準の考えがあるからです。同じ機能を果たすのに1を超えてしまうはずはないという考え方として教えます。

 しかし、現実的には、例えば60Lの燃料タンクを80Lに大きくしようとなれば、当然、容量が違うわけですからコストが変わってきますので、必ずしもV=F/Cの評価が正しいかどうか、疑問になってくることがあるわけです。

 追加機能については、当然のことで、なおのことそう言えます。私のセミナーでは、機能定義シートを改良して、追加機能の欄を改めてつくって、それが競合相手にあるのか、ないのかといったチェックもします。そうして追加機能のところで、競合相手と差が付くことが分かるようにしています。

佐藤 ここに目標値を入れて、従来機能については原価低減をして、その原資を使って追加機能のコストをはき出す。そのようなやり方で、上のCを下げる話がなければ、この追加機能分をプライスアップできるかという議論に変わります。

 従来機能の範囲は原価低減をして、追加機能にお金を使っていくことにすれば、数値的にはCが変わらずにできる。こんな理屈をよく、セミナーで教えたり、実務で使い始めたりしていますが、ある程度具体的に機能の目標と、コストの目標を付けることによって、プライスを誘導する議論の原点になるのだろうと思っています。

横田 先ほどの式ですけれど、一番右下を考えると、当然Vは1以上にはならないと私は思っています。つまりターゲットを超えることはない。それは、今佐藤さんが言われたように、実績価値標準で行く以上最も安いものがターゲットなので、これはあり得えません。ただし、F/Cの式に戻ったときは、1以上はあり得ます。機能を向上しなくちゃいけない場合は、これは当然1以上であってしかりであると思います。

 ここは考え方を分けないと、ちょっと理解に苦しむことになると思います。私も最初、すごくここの理解に苦しんで、自分なりにこの式を改良したことでようやく両方正しいと理解ができました。