横田 手を上げられた方は、Bさんの話についていかがですか。

会場からA氏 私はV=F/CのFをある意味Vと考えています。要するに、お客さまがプライスをくれるファンクションのことを、勝手に私はF/CのFと考えていまして、Fを上げるところが単に性能を上げるという意味ではなくて、お客さまがプライスを載せてくれる機能=Fと私は勝手に解釈しているのです。そうしないと上司に「Vが上がった」とは言えません。そこら辺の研究がこれから大切なんじゃないかなと思っています。

佐藤 今のお二人の話から、私の意見をお話しします。Fの開発で、日本にはセカンドルック、ファーストルック、ゼロルックと名付けたVEの手法があることになっていますが、現実的にファーストルックとゼロルックはマニュアルもありません。どういう狙いで、どうやったらほんとにゼロルックなのか。

 ただファーストルックもやっていると言いたいから、開発段階にVEをやったからファーストルックと言っている場合もありますが、気持ちとしては、ファーストルックは今までにない何かを求めているレベルに変わっていくものなので、設計段階での原価低減的なVEをファーストルックと言うのは、ちょっと間違っているかもしれない。

 私も、正直あまりゼロルック、ファーストルックをやっていないんです。ゼロルックは世の中に実績が少ないのですが、機能開発の方法としては存在しています。これを、具体的にもう少し、私も含め、我々日本のCVSやバリュー・エンジニアがもっとこの手法を詰めていく必要があるのだろうと思います。

多様な情報収集を

佐藤 もう1つの視点は、情報収集の仕方に問題があるかなと、今思っています。私も経験があるのですけれど、アンケートとか面接法、アスタリスクが付いているところは多くの教科書が推奨している方法なのですけれども、アンケートも面接もこちらが知っていることしか質問しません。こちらが気付いていることしか質問しません。回答者も、知っていること、気付いていることしか回答しません。

 そこで、動作分析とか、観察、それぞれのVEをやる人が具体的に体験する、そういう中からユーザーの範囲の前提を広げておいて、さっきのコップは、コップで水を飲む人だけではなくて、洗う人、壊れたコップを片付ける人、実は私は壊れたコップで手を切ったことがあるんですが、そういうようなことを含めると、対象範囲を広げていったらもっと違うニーズが出て、このきれいなグラスだけが評価を受けるのではない、新しいグラスが出てくるんじゃないかと。