VEには人間活用の答えがある

瀬口 もう1つ付け加えると、横田先生がおっしゃったマインドは非常に重要です。要するにVEというものは、基本的に言うと、私は人間力の活用だと思うのです。会社を構成しているのは人なんです。だから、その力をいかに有効に活用するかということが経営者の最大の関心事でなければならないはずなのです。

 その答えを持っている経営者は少ないと思いますが、私はVEをライフワークとしてやってきた関係もあり、VEが人間の力を活用する答えだと思っています。とにかく購入部品の値段を下げればいいんだということではないんです。売れるということが、お客さんにとっての肝ですから。米Apple社を見れば分かるじゃないですか。あの機能変換というものは強烈ですよ。そこで伸びているわけです。ですから機能が重要だというのは、当然です。

 ただ、私が言いたいのは、原価低減をやらないと、なかなかVEというものを経営者は理解しませんよということです。そこは捨てちゃいけないどころか、おおいに喧伝すべきだと思います。

 もう1つ言いたいのは、VEの機能にさかのぼるというやり方は、ものすごく飛躍的な解決につながるということです。私はIEもQCもやっていますが、飛躍的な解決はないんです。そもそもそれを狙っていません。要するに、飛躍的な解決というものは、VEの専売特許だと思うんです。

 ところが今、日米の企業を比べた場合、営業利益は日本の場合10%どころか5%を切っているところが多い。アメリカは、例えばVEを考え出したGEは、ずっと増益を続けていて営業利益は20%を超えています。日本の企業は、そもそももうかっていないんですよ。コストダウンうんぬんというより、利益が根本なんです。利益が出なかったら企業なんてものは発展しませんから。

横田 たぶんファンクションの部分、コストの部分、その差の部分、瀬口さんのおっしゃるP/CでいうところのP-Cのところなのかもしれない。そういう企業としては当然利益を生み出していかなくちゃいけないというところに本来の姿があるということですね。

瀬口 僕は、V=F/Cという式は利益を表していると思います。それは、人間力を開発することによって利益につなげていこうという根本的な考え方です。これがマインド・ターニングなんですよ。ですから、VEは心理学的な要素が非常に強いわけです。ですから、このマイルズさんの言葉は非常に素晴らしいと思います。