横田 ええ、本当に。私の会社の名は「ファンクショナル・アプローチ研究所」で、Value Engineeringは使わなかったんです。なぜかと言うと、今瀬口会長が言われたように、VEは製造業のある部分だけに特化したものじゃなく、経営そのものであり、全ての人の活動全部に適用できるものだろうという考え方からです。定義の中にもあります「機能的研究に注ぐ組織的努力」である。その機能的研究が、ファンクショナル・アプローチなんです。ほかの改善技法が山ほどある中、VEが唯一にして最大の効果を引き出しているのは、機能的研究法にある。ファンクション、機能に一度置き換えるというのが素晴らしいと思います。

 我々は、そこをもう一度確認して、製造業、建設業だけじゃなく、もっと一般の業界の人たちもここに集まり、そして、それぞれの業界でまた新たな研究がシェアされていくというのが、21世紀の姿じゃないかなと思います。

 そのために我々は何を世の中に発信していかなくちゃいけないのでしょうか。コスト削減ばかりでは駄目だし、製造業だけということだけでもなく、もっと門戸を広げて、ウエルカムな気持ちで我々も活動していくと、また我々の活動の場が広がっていくんじゃないかと思います。

佐藤 未来のVE、将来のVEをどうするかというのは、たくさんの切り口があると思いますけれども、私が皆さんに提案しておきたいことは、さきほどの意見の中でも私の持論でもあるんですが、ユーザーの範囲を広げよということです。

 VEの手法的にいうと、セカンドルックでVEのアプローチをする。セカンドルックで、あるものの機能を抽出して、その機能を違うかたちのもので置き換えようとしている。これはVEのセオリーです。

 でも、このセカンドルックは、従来のユーザーから広がらないんです。従って、ユーザーの範囲を広げる見方で新しい機能開発をすれば、VEの幅が広がる。これが、未来のVEについてのごく身近なところの提言の一つになるということで、私は、自分のセミナーでも、コンサルタントの仕事の範囲でも、いつもユーザーを広げる話をしているんです。そうすると、新しい機能のニーズが出てきます。