佐藤 機能系統図は、私独自がやりやすい方法で作っていますが、最終的に出来上がる機能系統図のスタイルは日本式で基本を変えていません。今問い掛けられているのは未来のVEですが、僕はまだ日本には本当のVEが浸透していないと思います。うわべだけのVEがたくさんあって、本当のVEをやっている会社はいったいどのぐらいあるでしょうか。

 ですから、未来というよりも、まず今やっている「VEらしきこと」を本格的にきちんとやること。そして、それを応用することが大事なんじゃないかなと思います。我々が問題にしなければいけないポイントを申し上げると、機能開発に目を向けたVEの適用を積極的にやるべきであろうと私は思っています。このごろ特に日本の商品がコストで負けるばかりなものですから、機能開発で勝ちたいという思いが非常に強いんです。

マインドを変える

佐藤 それから、(機能を想定する上での)ユーザーの範囲を広げることです。例えば、茶碗。食器洗い乾燥機でこれを洗うとひっくり返した足の部分に水がたまります。しかし、あの水が抜ける茶碗がちゃんと売られているんです。これは洗う人の立場を考えているんですね。通常は茶わんを使うことを念頭にVEをしますが、茶わんを洗う人という視点でも考えるべきなんです。いろいろなユーザーがいますから、ユーザーの範囲を広げることは重要なんじゃないかと思います。潜在機能をどう見つけるか。そこで競合他社に差をつけて勝っていけば、VEは本当の意味のVEとして認められるんじゃないでしょうか。

 昨年のVEアジア大会へ行ったら、全部コストリダクションの発表だったので、日本にとっては絶好のチャンスだなと思いました。