横田 基調講演で20世紀のマインドセットから21世紀のマインドセットに変えていかなくちゃいけないというお話しがありました。私もそのとおりだなと強く感じました

 恐らく基本的な考え方は変わらないだろうと思います。でも、テクニックは変わっていく。V=F/C、そして価値向上、特に5原則で総括されるようなものは変わらないけれど、手段や手法、ツールは変わっていくんじゃないかと思います。

 これからのValue Engineeringを考えるなら、当然今までのものをそのまままねるということではなく、当然ツールも変わっていきますし、これだけの研究が毎年行われるわけだから、いろいろなものを導入していっていいと思います。でも、考え方は変わらないだろうなとは思います。

 マイルズさんが晩年言われた言葉で、私がすごく印象的だったのは、「VEというのはものを変えるんじゃないんだ。人を変えるんだ」というものです。それを聞いたときに、なるほどな、と。VEの本当のマインドというか、VEをやる、広げる、それが多くの業界で効果が出ているというのは、うまく人を変えられたかどうか、そこに極まるんじゃないかなと思うんです。

 私の本の中でもこの「Mind turning is an essential step in problem solving.」という言葉を何度か紹介しています。

横田 問題解決において、極めて重要な一歩はMind turningだと。技術とかそういうものではなく、開発している人が、携わっている人が、分析している人のそのマインドが変わったかどうかというところが極めて重要で、ツールや式やステップなんかは時代ごとに変わってもいい。でも、このMind turningというのができているかできていないかで、VEが成功するかしないか全然違うと思ってもいいぐらい、マイルズさんの言葉に感銘を受けたし、これが本当のVEの姿なんだろうなと思います。

 これをするためにいろいろな道具が研究開発され、VE協会がそれを集約し、そして皆さんが実務で使用し、開発していくのです。次の時代、21世紀型のネクスト・Value Engineeringの姿は、これを忘れてはいけないのではないかと、私はすごく思います。