すれちがい通信といった無線通信機能を強化した狙いは、ソーシャル性を高めることだけではない。3DSを直接触って遊ばない時間も有効利用し、ゲームの楽しみを向上させる狙いがある。

 スマートフォンなどが登場したことで、ユーザーがゲームを楽しむ時間は短くなってきている。日中忙しい大人なら、なおさらだ。3DSを開いて起動せずとも、本体を閉じて待機(スリープ)状態にしておくだけで作動する各種無線通信機能は、ユーザーのゲーム時間が減ることへの対策になる。3DSから筐体外側のスイッチで無線LAN機能をオン/オフしたり、LEDランプを見るだけで通信状態を確認したりできるようにしたのも、対策の一環だろう。3DSから新たに導入された歩数計機能なども同様だ。

 そして、3DSを閉じた状態でも作動しているすれちがい通信などの機能は、ユーザーが3DSを「開いて」起動したときに、さらに楽しさが増すように設計されている。

 これまでのゲーム機は、「オンとオフの時間が、デジタル的に明確に切り分けられていた」(ソフトディバイスの野々山正章氏)。しかし、携帯機器を使ったエンターテインメントが増える中で、ゲーム機を“オン”にする時間は短くなった。ここにすれちがい通信などを盛り込むことで、「オン/オフの切り替えがアナログ的になった上、オンにした状態の楽しさが増す」(同氏)ようになったのである。