3DSには、ユーザーの近辺にいる人々との交流を促すソフトウエアが多数内蔵されている。例えばシューティング・ゲームでは、顔写真を用いた敵キャラクターが登場したり、周囲にいる人に遊んでもらったりする機能がある。AR機能を使えば、周囲の様子を撮影した写真とMiiを合成できる。ユーザーと周囲の人の顔写真を合成する機能も備える。(中央と左下の写真はソフトディバイス)
3DSには、ユーザーの近辺にいる人々との交流を促すソフトウエアが多数内蔵されている。例えばシューティング・ゲームでは、顔写真を用いた敵キャラクターが登場したり、周囲にいる人に遊んでもらったりする機能がある。AR機能を使えば、周囲の様子を撮影した写真とMiiを合成できる。ユーザーと周囲の人の顔写真を合成する機能も備える。(中央と左下の写真はソフトディバイス)
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 3DSでは、無線通信機能だけでなく、3DS本体だけで周囲の人々との交流を促す「仕掛け」を盛り込んでいる。それは、「周囲の人を“誘う”要素が多い」(電子機器のUI設計などを手掛けるソフトディバイスの福田卓郎氏)ことである(図)。

 これは、ユーザーが3DSを持ち込んだ場所で、周辺にいる3DSを持たない人を巻き込むことで関心を持ってもらい、購買意欲を刺激する狙いがあるとみられる。

 その好例が、裸眼立体視できる3Dディスプレイと内蔵ソフト群にある。3Dディスプレイは視野角が狭く、ディスプレイに正対しないと立体視できない。つまり、3DSを持ったユーザーしか楽しめず、立体映像を楽しむユーザーの姿を見た周囲の人々は、隣から画面をのぞき込んでも立体視できない。そのもどかしさから、周囲の人々は3DSに、より強い関心を寄せるようになる。

 3DSの内蔵ソフト群の中でも、特にユーザーを巻き込む要素が多いのが、「顔シューティング」と呼ぶゲーム・ソフトだ。これは、顔写真を利用した敵キャラクターを打ち落とすゲーム。3DSのカメラで撮影した顔写真を利用するので自然とユーザーは周囲の人々を撮影したくなる。撮影された人は思わず3DSに関心を寄せてしまう。

 加えて、顔シューティングには「遊んでもらう」という、周囲の人と遊ぶことを前提としたゲーム・モードがある。顔シューティングは、3DSに内蔵された加速度/角速度センサによる操作が可能で、ユーザーは3DS本体を手に持って動かしながら遊べる。熱中すると体の動きが激しくなるので、周囲の人は思わず目を向けてしまう。「『貸してほしい』と周囲の人に言わせるものを作ることに、任天堂はたけている」(ソフトディバイスの福田氏)のだ。この他、写真の合成機能でも周囲を引き込める可能性がある。
――続く――