すれちがい通信のもう一つの特徴が、ユーザーのプライバシーに配慮しつつ、不特定多数のユーザーの交流を実現している点である。3DSは幼い子供など、メディア・リテラシーの未成熟なユーザーの利用も想定されるからだ。

 例えば、アバターの「Mii」の映像は似顔絵であり、実際の写真ではない。このため、ユーザー本人を特定しにくい。自分に似せたMiiだけでなく、まっ たく関係ないMiiをやりとりに利用することもできる。すれちがい通信によって交換できる情報を限定することで、個人を特定しにくくしている。

 こうした匿名性を悪用し、仮に第3者が子供や知り合いを装ったとしても、すれちがい通信は近距離にいないと実行できないので、周囲に不審者がいれば目視 によってある程度確認できる。すれちがい通信を悪用する犯罪を100%防止することは難しいかもしれないが、任天堂はこの危険性の排除にだいぶ知恵を絞ったようだ。
――続く――