2012年11月18日に米国、同年12月8日に日本で発売する任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii U」。その特徴の一つが、新しいソーシャル機能「Miiverse（ミーバース）」である。同社のネットワーク・サービスにおける「重要な柱」（同社 代表取締役社長の岩田聡氏）と位置付け、ユーザー同士の「共感」を促進させる狙いがある。そもそも、こうしたソーシャル機能の追求は、2011年に発売された携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」から行われてきた。そこで本連載では、この3DSのソーシャル性について解説した日経エレクトロニクスの記事を紹介する。
2011年3月、世界最大級のゲーム開発者会議「GDC 2011」で、任天堂の「ニンテンドー3DS」の開発を主導した紺野秀樹氏が3DSの開発秘話を語った。 紺野氏は、「3DSをもっと外に持ち歩いて遊んでほしい」との考えから、内蔵ゲームの種類を増やしたり、無線通信機能を強化したりした。中でも重要視したの…
すれちがい通信といった無線通信機能を強化した狙いは、ソーシャル性を高めることだけではない。3DSを直接触って遊ばない時間も有効利用し、ゲームの楽しみを向上させる狙いがある。
3DSでは、無線通信機能だけでなく、3DS本体だけで周囲の人々との交流を促す「仕掛け」を盛り込んでいる。それは、「周囲の人を“誘う”要素が多い」（電子機器のUI設計などを手掛けるソフトディバイスの福田卓郎氏）ことである（図）。
無線通信機能を利用したユーザー同士の交流を促す手法は、すれちがい通信以外にもある。すれちがい通信で交流するには、半径数m程度に3DSが近づかなければならないという距離の「壁」がある。この壁を取り除けば、さらにユーザー同士が交流しやすくなる。
3DSには、すれちがい通信の利用を促す仕組みも盛り込まれている。
すれちがい通信のもう一つの特徴が、ユーザーのプライバシーに配慮しつつ、不特定多数のユーザーの交流を実現している点である。3DSは幼い子供など、メディア・リテラシーの未成熟なユーザーの利用も想定されるからだ。
裸眼3Dディスプレイの搭載で注目を集める、ニンテンドー3DS。しかし、これは3DSの特徴の一つを示しているにすぎない。3DSに盛り込まれた新機能を見ていくと、同社が並々ならぬ思いを込めて、「ソーシャル性」を追求していることがよく分かる。