見える化や相互利用を促進

NFCを使えば、接続先の機器を制御するだけでなく、機器側からのデータをスマートフォンに送信できる。これにより、機器の動作状態のデータや家電が測 定したデータなどをサーバーで管理・集計できる。例えば血圧計や活動量計、体組成計といったヘルスケア機器の場合は、それぞれが取得した生体データをサー バー上のデータベースに蓄積できる。冷蔵庫といった白物家電でも、消費電力の増減に関わる扉の開閉回数などのデータを集計する。

集めたデータはグラフなどで可視化され、ユーザーはスマートフォンで閲覧可能だ。ヘルスケア機器の場合は、「友達リンク」と呼ぶSNS機能で、登録ユー ザー同士で測定データを共有できる。成果を可視化した上、ユーザー同士の評価を得られる仕組みを設けることで、継続利用を促す狙いがある。

パナソニックは将来的に、蓄積したデータを異なる機器で活用することを視野に入れている。例えば、体組成計で得た体重や体脂肪率と、活動量計で測った消 費カロリーの情報から、適切な料理のメニューを推薦する。このメニューのレシピや調理法がスマートフォンに送られる。ユーザーは調理家電にスマートフォン をタッチすれば、レシピや調理法のデータを送り込み、調理を開始できる。

修理依頼を迅速化

図3 修理依頼の負担を減らす<br>パナソニックのスマート家電には、修理依頼の負担を軽減する仕組みがある。例えば、故障した場合、NFC対応のスマートフォンでタッチすればコールセンターの連絡先や、修理依頼のWebサイトのURLをスマートフォン上に表示する。図は、仕組みの概要を示したもの。
図3 修理依頼の負担を減らす
パナソニックのスマート家電には、修理依頼の負担を軽減する仕組みがある。例えば、故障した場合、NFC対応のスマートフォンでタッチすればコールセンターの連絡先や、修理依頼のWebサイトのURLをスマートフォン上に表示する。図は、仕組みの概要を示したもの。
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パナソニックは、NFCを通じたクラウド連携によって、ユーザーの利便性向上にもつなげた(図3)。例えばスマート家電が故障した場合、NFCのR/W 機能を備えたスマートフォンでタッチすれば、コールセンターの連絡先や修理依頼のWebサイトのURLをスマートフォン上に表示する。そのURLを選択す れば、修理に必要な情報、例えば機種やエラーの種類などが自動的に書き込まれた状態で修理依頼のWebサイトに飛ぶ。一から情報を書き込んでいた場合に比 べてユーザーの負担が減る。メーカーにとっても、ユーザーのサポート・コストを減らせる。

白物家電のような「スタンドアロン」な機器にアクティブ・タグを搭載し、スマートフォンを通じてクラウド・サービスと連携させるといった流れが今後も加速するとみられる。