NFC普及の条件がそろう

 スマートフォンやゲーム機などがNFCのR/W機能を搭載し、インターネットのサービスや、NFCタグと組み合わせたアプリを簡単に開発できるようになることで、NFCを使ったアプリ開発が活性化する。まだ、NFCの可能性を最大限に引き出した「キラー・アプリ」がないことから、ここには大きなビジネスチャンスが眠っている。

 元はNTTドコモでスマートフォン向けサービスの開発などに携わり、現在は個人開発者などが集うコミュニティー「NFC Lab」の会長を務める山下哲也氏も、NFCの可能性に魅力を感じている一人だ。「R/W機能を搭載したスマートフォンを始め、高速な通信環境や安価な開発環境など、NFCを活用するアプリが爆発的に普及するための条件はそろっている。これはまさにパソコンの普及前夜と同じだ。1980年代、パソコンはオタクや研究者のものだったが、プロセサやディスプレイ、OSなどの各条件がそろったときに一気に普及した。言い換えれば、関連する各業界が“同期”したときが、普及の契機になる。それが今、NFCでも起きている」と語る。

 開発者が増えることで、これまで予想もしなかった、新たな利用方法が生まれる。それがまた開発者を呼び込む。そうした「正」のスパイラルが、NFCの普及を促していく。

 †NFCタグ=NFC用のアンテナとIC、データ記録用のメモリを搭載したもの。R/Wからの電磁波を受けて動作する。基本的に、暗号回路は備えない。