世界規模で仲間づくりを目指す

 東京大学の中須賀が今回のプログラムで目指したのは、宇宙開発プロジェクトの立ち上げを目指す新興国で、日本ファンを増やすことだ。「参加した研究者自 身はもちろん、彼らが持ち帰った教育プログラムで育った人材は、いずれ各国の宇宙開発で中核になる。今後、人工衛星の開発で重要なのは、技術の標準化だ。 日本の技術の仲間づくりが大切になる」。

 中須賀らは各国と共同で地球観測用の超小型衛星を安価に開発し、人工衛星網を構築する「UNIFORM」と呼ぶプロジェクトにも着手している。各国で打ち上げた複数の超小型衛星を連携させて、多地点で観測したデータを共有し活用することを目指す。

 ベトナムの宇宙技術関連の研究所「Space Technology Institute of Vietnam」から今回のプログラムに参加したDan Phan(36)は、「我が国は既にUNIFORMに参加している」と説明する。「近い将来、ベトナムは宇宙センターを設立する。2020年に、日本と協 力して開発した超小型衛星2基を打ち上げる計画だ」という。

 参加者が口をそろえて熱く語ったのは、「今回のような取り組みを、日本は続けてほしい。我々も、この教育プログラムをさらに高い水準に自ら改良しなけれ ばならない」という点だ。今回は東日本大震災の影響で、伊豆大島での缶サットの打ち上げは、残念ながら中止になった。「再挑戦したい」。参加した研究者らが、そう念じていることは想像に難くない。