――韓国企業で働いて感じることは。

奥山 日本企業との一番の違いは、上司の権限が強いことだ。実用化に向けたロードマップを明確に示す上司が多く、意思決定が速い。韓国企業の強さはここにあると感じる。

川口 部署内での業務分担がはっきりしている。個人がバラバラに動いていることも多く、チームとしてのまとまりがない。情報の共有もごくわずかだ。よくこれで実用化に持ち込めたと疑問に感じることもある。正直、どうして日本企業が負けたのかが分からない。

――韓国人技術者の能力は、日本人技術者と比べてどうか。

奥山 業務上の専門知識は豊富で、日本人技術者と比べても遜色ないレベルだ。ただし、韓国人技術者の業務の進め方を見ていると、目先の問題を解決することだけに重点が置かれており、基本原理を深堀りしないことが多い。せっかくの知識が生かせていない印象を受ける。

佐藤 意外だったのが、英語を話そうとしない技術者が多いことだ。TOEICの点数は私より高いはずなのにと思ってしまう。英語で話し掛けると、嫌そうな顔をされることもある。