試行錯誤の治験・許認可

部屋を埋め尽くす資料の数々
許認可を得るために膨大な文書をやりとりした。

 設計仕様が固まってから現在までの約10年は、前臨床試験、治験、そして許認可を得るまでに費やした期間である。「非常に長く感じた」(サンメディカル技術研究所の山崎俊一氏)という。どのような評価をすればよいのかといった基準もなく、すべてが手探りの状況だったからだ。

 薬事申請は、もちろん初めての経験である。しかも、補助人工心臓は最も厳しい分類の高度管理医療機器に属する。「許認可関連の文書のやりとりは非常に大変だった。一つ一つ、丹念にこなすしかなかった」(サンメディカル技術研究所の牛山氏)。保管されている文書は、同社オフィスの一つの部屋を埋め尽くすほどである。

2010年12月に薬事承認を取得
厚生労働省から取得した製造販売承認書。

 一方で、追い風も吹いた。サンメディカル技術研究所が国内治験を決断する直前の2002年に制度が変わり、それまでメーカー負担が大きかった治験費用の仕組みが見直された。さらに、2000年代後半には、政府が承認ガイドラインを作成するなどして、補助人工心臓の早期承認に向けた環境の整備を進めた。こうして同社のEVAHEARTは、2009年1月の申請から2年弱が経過した2010年12月、厚生労働省の製造販売承認を取得した。