多くのエレクトロニクス企業が新事業としてヘルスケア分野の開拓を急ぐ中、パナソニック・グループも例外ではない。新設したパナソニック ヘルスケアを中核に、同分野を次代の柱となる事業の一つに育てていく考えだ。グループが保有する幅広い技術力を強みに、ヘルスケア市場での存在感を高める ことを狙う。パナソニック ヘルスケア 取締役の岡崎之則氏が、同社の取り組みの概要の他、今後の医療機器開発の環境整備について提言する。(小谷 卓也=日経エレクトロニクス)
パナソニック ヘルスケアは、2010年10月に設立されたばかりの会社である。これまでパナソニック・グループでは過去数十年にわたり、さまざまな保有技術を基にした ヘルスケア関連の取り組みを進めてきた。それらを一つに集約し、名実ともにヘルスケア事業に取り組んでいくという意思表示を込めて設立された。現時点で は、パナソニックがヘルスケア事業を本格的に手掛けていることを知らない人も多いだろう。
パナソニック・グループは今、大きな事業再編を進めている。三洋電機とパナソニック電工と一体となった新体制が2012年1月に始まった。新体制では、 民生機器関連の「コンシューマ」、システム関連の「ソリューション」、電子部品関連の「デバイス」という三つの事業分野に取り組むことを掲げている。パナ ソニック ヘルスケアによるヘルスケア事業は、このうちシステム関連の事業分野の一つとして位置付けられている(図1)。
本稿では、(1)パナソニックがヘルスケア事業に取り組む背景や取り組みの内容、(2)今後の医療機器の開発環境に対する課題提起、の2点について示していく。